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オステオアゴラ九州沖縄エリア 2003年新緑座談会
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出席者のご紹介
 桐山健(司会)(当院院長)

 帖佐悦男先生(宮崎医科大学整形外科助教授)

 鶴上 浩先生(公立玉名中央病院整形外科
          【現・鶴上整形外科副院長】)


 
坂元寛志先生(坂本内科クリニック院長)


テーマ : 骨粗鬆症による骨折にどう対処すべきか
桐山(司会)
 本日は「骨粗鬆症による骨折にどう対処すべきか」をテーマにお話を伺っていきたいと思います。最初に、骨折は本当に予防できるのかということについてお話していただきます。


鶴上先生
 骨折の予防には、骨量の増加と転倒の予防が重要だと思います。骨量の増加については、まず薬物治療があると思いますが、これは最近たくさんのエビデンスが出てきていますので、データをみる限りはかなり骨折を減らすことができると考えられます。ただ、実際に一人一人の患者さんを考えた場合、骨折リスクをどの程度評価できているか、どうすれば治療が効果的にできるかについては解明できていない点が多いと思います。


桐山
 個々の患者さんで、例えば薬物治療がその患者さんの骨折リスクを減らしているのを実感できるのはどのような状況でしょうか。


鶴上先生
 それが非常に難しいと思っています。例えば、ある薬剤を使った時に骨折をこれぐらい減らすことができるというデータはあるわけです。しかし、その患者さんのリスクをどれくらい減らせるかについては一概には言えないと思います。ですから、極端な話、年齢や家族歴、骨量などのデータを入力してリスクとベネフィットを計算してくれるようなシステムがあれば、患者さんにとって最善の治療法を見つけることができるのではないでしょうか。

桐山
 予防的治療は評価が非常に難しいですね。ないかの領域では高血圧や糖尿病、高脂血症などが予防的治療の対象になりますが、整形外科ではいかがでしょうか。


鶴上先生
 整形外科では既に骨折を来している患者さんが多いので、「それ以上の骨折を起こさない」事が予防になるわけです。患者さんも1回骨折を経験されているので、「次の骨折を防ぐ」という治療の目的がはっきりしています。

桐山
 内科的な立場からいかがでしょうか。

坂元先生
 確かに、最近ビスフォスフォネートなどの骨折予防に効果的な薬剤が出てきて、骨量が増加するという実感はありますが、骨折予防に効いているかどうかは判断しにくいですよね。他の内科的疾患は、腎障害が出るとか狭心症になるとか、徐々に患者さんの状態が把握できて、ある意味で病態が理解しやすいと思います。ところが、骨粗鬆症の場合は、転倒という外的要因も加わってきますから、病態の連続性という意味ではつかみにくいですよね。

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